「うつ病」の薬物療法、多剤処方が考えられ、厚生労働省は注意喚起

2017年09月30日
うつ病・抑うつ状態
pp_suitekiha_TP_V4.jpg

「うつ病」治療の最前線 「引く治療」で回復へ?

2017年9月30日(土) AERA dot.週刊朝日
https://dot.asahi.com/wa/2017092800013.html?page=1

※記事は3ページあります。

<1ページ>

うつ病と診断され治療しても回復しない患者が増加している。

その原因のひとつに、多くの種類の薬剤を処方する「多剤処方」が考えられ、

厚生労働省は注意喚起している。

最近その薬物療法を見直す動きに注目が集まっている。


【図はこちら】心の不調ピラミッド診断法

クリック→https://dot.asahi.com/print_image/index.html?photo=2017092800013_2

2014年の調査によると、うつ病、躁うつ病の患者数は約112万人で、

30年間で10倍以上になった。


現在おこなわれているうつ病の治療は、薬物療法が中心だ。

これは病気の基礎にある脳の機能異常を是正し、

症状の消失を目指した治療だが、

消化器や性機能などのほかさまざまな副作用が表れることもある。


患者の症状の訴えに対し、医師が薬を次々に処方することで副作用止めも増え、

薬の相互作用でかえって体調を崩す人は少なくない。

多剤大量処方は世界的にも問題視され、

日本でも厚生労働省が15年から処方の規制を始めた。

また今年3月には抗不安薬や睡眠薬として使用される

ベンゾジアゼピン系44種類の薬に依存性があるとして、

長期投与への注意喚起がなされた。


このため「服薬中の精神薬を見直したい」と考える患者も増えている。

しかし減薬に積極的に取り組む医師はまだ少数だ。

その一人、杏林大学名誉教授で、

はるの・こころみクリニック院長の田島治医師は、

薬を適正に減薬する「引く治療」の大切さを早くから提言し続けている。


「向精神薬は開始より中止するほうが難しい。

脳に作用する強力な薬のため、減薬の際には、

どの薬でも離脱症状と呼ばれる状態が起きると想定したほうがよい」と

減薬の可能性とその難しさを指摘する。


減薬を希望する患者に対し、田島医師は、次の三つの視点で診断し直す。

1.本当に精神の病気があるのか

2.引きこもりや生活環境の影響による症状はないか

3.薬の悪影響はないか。


現在の状況だけでなく、発病前の環境や発症の経緯などを3~4回の診察で丁寧に聞き、

必要に応じ心理テストや発達障害などの検査をした上で、

患者と話し合いながら一緒に減薬の計画を立てる。


<2ページ>

減薬による離脱症状は薬の種類、体質などにより千差万別だが、

頭痛、感覚異常、疼痛、幻覚妄想状態、不眠、食欲不振、衝動性や暴力性、

時には自殺企図などリスクの高いものもある。


このため田島医師は、出現する可能性のある症状を事前に丁寧に患者に説明し、

緊急事態にも連絡を取れる体制を作る。

患者と医師の間に信頼関係があると、不安が減り、離脱症状も軽減される傾向がある。


田島医師は、減薬が身体に及ぼす影響を考慮し、

時間をかけて安全に減薬をおこなうことを勧める。

例えば睡眠薬でも1錠の4分の1を毎週末に減らし始め、

少しずつ減らし続けて断薬に1年かけることもある。

多剤処方なら2~3年計画でおこなう場合もある。


また長期間治らないうつ病のなかには、

適切な薬物療法がなされていないことが原因の例もある。

こうした症例に対しては、

まず服薬しても効果が感じられなかったSSRIなどの薬剤を中止する。

そのあと、三環系抗うつ薬、SNRIやNaSSAなどタイプが異なる抗うつ薬を

十分量、十分期間投与する。

なかにはドパミン系の機能を高めるアリピプラゾールの併用が効果を上げる例もある。


いずれの場合も適切な薬物療法で安定した状態が1年以上続いたことを確認したら、

「引く治療」に切り替え、慎重に減薬から断薬を目指す。


「治療のゴールは、患者さんが医師と縁が切れ、普通の生活が送れることです。

『希望』を持ち、自発的に治療に取り組むお手伝いをするのが医師の仕事です」と

田島医師は笑顔で話す。


千葉県在住の山田則男さん(仮名・40歳)は

大学卒業時の就職活動の失敗を発端に摂食障害からうつ病やパニック発作を発症した。

多いときで1日10錠以上の薬を14年間服用し年々体調が悪化し続けた。

薬に疑問と危機感を感じ「薬に頼らないうつ病治療」に取り組む

千村・クリニック院長、千村晃医師を受診した。

「初診できちんと話を聞いてもらいました。体質、生活習慣、人間関係など

多角的なアプローチで一緒に考えてくれました」 と山田さん。


<3ページ>

山田さんは初診時の血液検査で貯蔵鉄フェリチンが不足していること、

低体温傾向があることが判明した。

指導のもと鉄やビタミンなどの補充を受けながら、

約8カ月かけて4種類の薬を徐々に減らし、2年前に断薬を完了。

現在は再発もなく元気に過ごしている。


「人が話を聞くことは有効なのです。

精神科においては心理療法と適切な薬物療法を組み合わせることがベストの治療法です」

千村医師はそう強調し、また、身体疾患の見落としの可能性も指摘する。


「治療を続けても回復しない人の中に、

鉄欠乏性貧血や甲状腺の病気、睡眠時無呼吸症候群など

別の身体疾患の治療がなされないまま症状が混乱している人がいます」(千村医師)

このため血液検査のほか、常に体重、血圧、体温など身体のデータに注意を払う。


うつの原因を調べるための血液検査は、

症状、性別、年齢などにより、フェリチン、亜鉛、ビタミン、ホルモンなど、

保険適用のものと自費診療のものをおこなう。


千村医師は、身体管理に加え生活習慣や心理面の支援も重視する。

「うつになった原因」をピラミッドの層(図参照)にたとえて説明し、

患者が原因と考える「職場環境からのストレス」など目に見える部分は、

実は氷山の一角であることが多いと指摘する。

そして本人も自覚できていない食事、運動、睡眠などの生活習慣、

生育歴や家庭環境などにより長年の間に形成された

「考え方の癖」や「生きづらさ」の存在に患者自身が気づくことの大切さを指摘する。

このため患者と初診時にじっくり対話し、根本の問題を共有してから、

薬の見直しに入る場合が多い。


問題が根深いものではない場合は、身体管理や生活習慣の立て直しをしながら、

少しずつ薬を減らし、半年から1年程度で断薬を完了する人が多い。

長期のカウンセリングを必要とする問題を抱える患者の場合は、

根本を解決しないとせっかく良くなっても再発しやすいため、

3年程度かけて取り組む覚悟が必要だという。


適切な減薬によってうつ病から回復する人は少しずつ増えている。

減薬のノウハウは個別性が高く医師も個々の患者に合わせて手探りで計画を立て

試行錯誤しながらおこなっているのが現状だ。

また、投薬と異なり、時間と手間のかかる作業となることが多い。

だからこそ患者と医師が信頼関係を持つことが大切だ。


急な減薬、断薬による心身へのダメージや後遺症を減らすためにも焦らず時間をかけること。

薬の影響や離脱症状について率直に話し合いをしながら慎重に

「引く治療」を進めることが回復の鍵のようだ。

※週刊朝日  2017年10月6日号
スポンサーサイト



気に入ったらシェア!

のぞみ
この記事を書いた人: のぞみ
<発症原因>
中学時にいたずらによる椅子引きで
尾骨を骨折する
原因不明の多彩な症状が現れ
寝たきり車椅子生活となる
ドクターショッピングを重ね
脳脊髄液減少症だと
診断確定したのは発症から10年後

<診断・検査・治療病院>
国際医療福祉大学熱海病院

<検査結果>
画像診断より
腰椎から複数の髄液ダダ漏れ
脳下垂・硬膜肥厚・静脈拡張
髄圧一桁・残存率一桁の所見あり
脳脊髄液減少症と診断確定

<再検査>
先進医療が実施され再検査の結果
胸椎からの髄液漏れ有り
診断基準に該当
脳脊髄液(漏出症)と診断確定

<病歴20年・治療後10年・男性>
ブラッドパッチ療法2回
アートセレブ(人工髄液)髄注1回

<治療経過>
発症から20年、治療から10年経過
診断前後の7年間は介助が必要な
寝たきり車椅子生活となりましたが
治療+自己流リハビリを重ねて
多彩な症状は消失しましたが
僅かな頭痛・倦怠感の残存症状があり
共存しながらも社会復帰に至りました
全完治まであと一歩です
新ガイドライン策定news(2018年12月~) (4)
ブラッドパッチ療法保険適用決定(2016年) (3)
┗  ブラッドパッチ療法保険適用 (2)
先進医療実施 診断基準(2012年) (1)
学校における脳脊髄液減少症(文部科学省) (1)
子どもの脳脊髄液減少症 (10)
起立性調節障害 (6)
体位性頻脈症候群(POTS) (5)
HSC(ハイリーセンシティブチャイルド) (3)
HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン) (1)
障害年金 (9)
交通事故損害(書籍) (1)
自賠責保険 (2)
マイナンバーカード (1)
脳脊髄液減少症(news) (30)
脳脊髄液減少症(研究) (7)
脳脊髄液減少症(患者) (36)
脳脊髄液減少症(芸能人) (4)
脳脊髄液 (21)
新型コロナウイルス (37)
新型コロナウイルス後遺症 (5)
宇宙飛行士と脳脊髄液の関連 (9)
脳神経 (16)
慢性硬膜下血腫 (2)
医療news (33)
医療機器 (7)
整骨院・整体院・カイロプラクティック事故 (1)
書籍 (4)
健康機器 (1)
サプリメント・健康食品 (7)
医薬品news (20)
┣  薬剤性ジストニア (1)
┣  ベンゾジアゼピン系受容体作動薬 (4)
┣  ベンゾジアゼピン離脱症候群 (1)
┣  リリカ(鎮痛薬) プレガバリン (3)
┣  デパス(向精神薬) (2)
┣  レンドルミン(睡眠薬) (1)
┣  モーラステープ(光線過敏症) (1)
┗  タリージェ(疼痛治療薬) (2)
社会news (8)
朝日 健康・医療フォーラム2019 (4)
脳脊髄液減少症の問題点 (7)
厚生労働省認可病院の現状 (1)
患者の体験による発症原因と症状 (5)
検査方法(熱海病院の参考例) (1)
保存的療法(初期段階治療) (1)
国際医療福祉大学熱海病院にて診断確定 (3)
ブラッドパッチ治療後の安静期間と始動 (2)
┗  ブラッドパッチ治療後の腰痛 (1)
ブラッドパッチ治療後の症状 (24)
アートセレブ(人工髄液)1回治療 (5)
経過観察と苦悩 (35)
心の葛藤 (11)
経済的困難の苦悩 (3)
生活不活発病(廃用症候群) (2)
┗  介護用品が必要となった日常生活 (1)
リハビリ(前半) (14)
リハビリ(後半) (10)
リハビリのまとめ(完結) (1)
リハビリ+α (10)
社会復帰への第一歩 (1)
運動リハビリ(運動療法) (16)
┣  家事はリハビリに最適 (1)
┣  水中ウォーキングの注意点 (1)
┣  イメージトレーニング (1)
┣  体幹スロートレーニング (1)
┣  セロトニン分泌(リズム運動) (2)
┣  エンドルフィン分泌(音楽療法) (2)
┣  デュアルタスク(脳疲労) (1)
┣  体水分循環(頭痛・疲労倦怠感・むくみ) (1)
┣  インターバル速歩(脳疲労・疲労倦怠感) (1)
┣  スロージョギング (1)
┗  ヨガ・太極拳 (3)
サプリメントより食事内容(質)の大切さ (12)
┣  食事療法(アミノ酸・たんぱく質) (2)
┣  アミノ酸・炭酸水・クエン酸・ミネラル (2)
┣  腸内細菌(脳腸相関) (3)
┣  下痢(食事療法・運動) (2)
┣  イミダペプチド(抗疲労効果) (1)
┗  乾燥生姜(体の痛み・冷え症) (1)
糖質制限 (2)
口腔アレルギー症候群(OAS) (1)
サプリメント情報(脳脊髄液減少症) (4)
水分補給・脱水 (9)
カフェイン・アルコール (3)
五苓散の利水効果 (1)
パソプレッシンホルモン(尿量の調整) (1)
天気・気圧・湿度の影響 (8)
気象病・天気痛 (5)
花粉症 (4)
┣  光線過敏症 (1)
┗  寒暖差アレルギー (1)
化学物質過敏症・電磁波過敏症 (7)
慢性連日性頭痛・目の奥の痛み (9)
起立性頭痛 (2)
片頭痛 (8)
労作性頭痛 (1)
耳の冷えによる機能性頭痛 (1)
後頭部と耳の後ろが痛い大後頭神経痛 (1)
頭部アロディニア (2)
┗  頭部抜け毛・白髪・皮膚乾燥 (1)
ベル麻痺 (1)
石灰化上皮腫 (1)
自律神経 (5)
動悸・手の振るえ(振戦)チック症状  (2)
心臓・動脈硬化・スモールハート (1)
高血圧 (3)
微熱・悪寒・高熱 (1)
冷え性・体温調節機能・汗腺機能 (6)
疲労・倦怠感・易疲労 (5)
脳疲労・ブレインフォグ (9)
睡眠障害 (9)
睡眠相後退(前進)症候群 (1)
不眠・過眠・ナルコレプシー(オレキシン) (9)
むずむず脚症候群 (1)
高次脳・視空間認知力低下 (1)
めまい・吐き気・動悸 (4)
眼前暗黒感のめまい (1)
光過敏・複視・霧視・残像・視力低下 (2)
緑内障 (6)
加齢黄斑変性 (2)
目の不調は脳が原因 (12)
┣  眼瞼・顔面けいれん (1)
┣  眼球使用困難症 (2)
┣  中枢性羞明 (3)
┗  アーレン症候群 (2)
聴覚過敏・車酔いとめまい (1)
耳鳴り (4)
耳菅開放症 (2)
外リンパ瘻 (2)
メニエール病 「中耳加圧治療」 (2)
APD・聴覚情報処理障害 (1)
鼻詰まり (1)
味覚 (1)
嚥下障害 (1)
非歯原性歯痛 (1)
口内炎・ヘルペス・口角炎・味覚障害 (2)
歯肉炎・親知らず抜歯・ドライマウス (1)
顔のしびれ (1)
顎関節症・三叉神経痛・噛み締め (2)
慢性上咽頭炎・EAT(上咽頭擦過療法) (2)
咽頭痛・異物感・息苦しさ・期外収縮不整脈 (1)
リンパ扁桃腺の腫れ・下顎と首のしこり (1)
長引く咳・むせる咳・咳喘息との関連 (2)
甲状腺機能亢進症(別名バセドウ病) (1)
帯状疱疹 (1)
座位・起立・労作不耐・末梢神経障害 (1)
胸郭出口症候群 (3)
梨状筋症候群 (2)
頚椎症・ストレートネック (1)
肩・肩甲骨・背中・手足の痛み (4)
トゥレット症候群と不随意運動 (1)
血糖値上昇 (2)
反応性低血糖症 (1)
副腎疲労/副腎疲労症候群 (1)
IgG抗体検査に関する注意喚起 (1)
胃痛・胃液逆流・下痢 (1)
機能性ディスペプシア (2)
過敏性腸症候群(IBS) (2)
潰瘍性大腸炎(UC) (3)
頻尿・膀胱炎 (3)
┣  ED症状 (1)
┗  女性化乳房症(男性) (1)
無痛分娩・帝王切開(硬膜外麻酔) (4)
┣  月経前不快気分障害「PMDD」 (1)
┣  PTSDと腸内細菌 (1)
┗  HPVワクチン (1)
パニック障害 (1)
うつ病・抑うつ状態 (6)
経頭蓋磁場刺激法(TMS) (3)
反復経頭蓋磁気刺激(rTMS) (5)
経頭蓋直流刺激(tDCS) (1)
むち打ち症 (3)
高次脳機能障害 (6)
軽度外傷性脳損傷 (12)
外傷性脳損傷 (4)
遅発性脳障害 (1)
筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群 (55)
小児の慢性疲労症候群 (1)
カルニチン欠乏症 (2)
筋痛性脳脊髄炎/線維筋痛症 (42)
慢性疼痛 (10)
腰痛(慢性痛) (2)
神経障害性疼痛 (7)
複合性局所疼痛症候群(CRPS) (2)
神経疾患(脊磁計) (1)
脊髄刺激療法(SCS) (2)
筋筋膜性疼痛症候群(MPS) (1)
強直性脊椎炎(AS) (10)
筋萎縮性側索硬化症(ALS) (3)
椎間板ヘルニア (1)
パーキンソン病 (3)
認知症・認知障害・アルツハイマー病 (8)
ヘルプマーク (3)
不定愁訴 (5)
インフルエンザ (1)
ドクターショッピング(一部のみ) (8)
コメント受付中断のお知らせ (2)
プライベート (5)
ひとりごと (4)
12月は自分の生き方を振り返る (4)
命とは生きるとは (6)
年末・年始の感謝とご挨拶 (12)
ごあいさつ (1)