新たな治療薬が増えた強直性脊椎炎

2019年02月26日
強直性脊椎炎(AS)
NKJ56_majyonotukue_TP_V4.jpg

指定難病である、強直性脊椎炎(AS)への新たな治療薬
セクキヌマブ(商品名:コセンティクス)が
承認を取得したニュースです。



新たな治療薬が増えた強直性脊椎炎
2019/02/25 CareNet.com
https://www.carenet.com/news/general/carenet/47536

2019年1月30日、ノバルティスファーマ株式会社は、

同社が製造販売(共同販売:マルホ株式会社)する

セクキヌマブ(商品名:コセンティクス)が、

昨年12月21日に指定難病である強直性脊椎炎(AS)への

効能効果の追加承認を取得したことから都内でメディアセミナーを開催した。

セミナーでは、ASの概要のほか、患者を交えてパネルディスカッションが行われ、

医療者、患者双方から診療の課題などが語られた。


セクキヌマブはASの付着部炎に有用

はじめに「強直性脊椎炎(AS)の病態と新たな治療選択肢~IL-17阻害薬~」をテーマに

亀田 秀人氏(東邦大学医学部 内科学講座 膠原病学分野 教授)を講師に迎え、

ASの診療概要とセクキヌマブの効果について解説が行われた。


ASは、脊椎関節炎の中でも体軸関節の炎症が主体となる代表疾患であり、

リウマチなどと比較しても、若年での発症が多いとされている。

また、「本症はHLA-B24の白血球の型が関係していると推定され、

この陽性者はわが国で3万人程度と推計されているが、

本症の指定難病受給者証所持者は3千人程度にとどまっている。

陽性者イコール発症するわけではないが、見過ごされている患者もいる」

と亀田氏は指摘する。


診断では、1984年の改訂ニューヨーク基準が使用され、

3つの臨床基準とX線検査基準とでASを確定診断する1)

日常診療では、炎症性背部痛とくに腰痛の兆候が重要所見であり、

画像診断ではX線とMRIで行うが、

MRIの方が仙腸骨の描出が優れていると診断でのポイントを語った。

また、ASでは腱や靭帯の付着部の炎症が起こるとされ、

痛みを伴い、患者のQOLを著しく低下させ、こうした痛みの管理も必要とされる。


ASの治療目標としては、根治療法が現在ない以上、疾患との共生にむけ、

「病状のコントロール、構造破壊の予防、身体機能の正常化を通じて、

健康に関連したQOLと社会参加を最大にする」ことが挙げられる。


治療では、薬物療法と運動・理学療法が主体となり、痛みにはNSAIDsが、

体軸の炎症には生物学的製剤であるTNF阻害薬などが使用される。

また、患者には、疾患への教育と運動の励行、そして、禁煙なども指導される。


とくに薬物療法では、付着部炎症への治療が注目され、

IL-17Aが炎症反応に関与する免疫応答に関わることから

抗IL-17A抗体製剤の開発が行われてきた。

開発されたセクキヌマブは、当初、乾癬の適応から始まり、

海外と国内で2つの第III相二重盲検比較試験(MEASURE1およびMEASURE2)が行われ、

今回適応が拡大された。


MEASURE1は、活動性AS患者を対象に有効性と安全性を評価する

2年間の多施設共同、ランダム化、プラセボ対照、第III相臨床試験。

主要評価項目は、ASAS20反応基準で20%以上の改善を達成した患者の割合を指標とし、

16週時点のプラセボに対するセクキヌマブの優越性を評価(プラセボ群に割付けられた患者は

16週時点のASAS20反応率に基づき、非反応例は16週、

反応例は24週目にセクキヌマブ75mgまたは150mg投与に再割付)。


その結果、16週の時点での ASAS20達成率は,

セクキヌマブ皮下投与 150mg群、75mg群、

プラセボ群でそれぞれ 61%、60%、29%であった(P<0.001)ほか、

患者の約80%で、208週間の治療を通して投与開始時と比較し、

脊椎にX線像上の骨所見の進行を示されないことが示唆された

(modified Stoke Ankylosing Spondylitis Spinal Score[mSASSS]X線評価尺度を指標)

安全性は良好で、

重篤な有害事象では心筋梗塞、胆石症、腹部リンパ節膨脹などが報告されたが、

薬剤と関連する死亡例は報告されなかった。

また、MEASURE2もASAS20反応基準で20%以上の改善率、

安全性ともにほぼ同様の結果が得られ、薬剤に起因する死亡例はなかった。


以上から、亀田氏は「ASは早期診断が難しい脊椎関節炎であり、

画像検査の適切な活用が重要となる」と語るとともに、

ASの病態では付着部炎が中心的な役割を果たしていることを指摘し、

「付着部炎を誘導するIL-17Aを阻害するセクキヌマブのような

新しい生物学的製剤は治療への有用性が高い」と述べ、講演を終えた。


「痛み日記」が医療者と患者の意思疎通に役立つ

続いて町 亞聖氏をファシリテーターに、AS患者の銭谷 有基氏、

多田 久里守氏(順天堂大学 膠原病・リウマチ内科学 准教授)の3人が登壇し、

同社が2018年9月に行ったアンケート調査結果などを基に

パネルディスカッションが行われた。


はじめにアンケート調査結果が多田氏から報告され、

7割以上の患者が確定診断まで2ヵ所以上の複数医療機関を受診していること、

誤診として「ヘルニア」「腰痛症」などが多いこと、

半数以上の患者が医師に症状を伝えるうえで(症状が一定化しないため)

言葉にするのが難しいと感じていること、

また半数の患者がASと診断されてほっとしていることなどが報告された

(回答者はASと診断された男女103例/インターネット調査)


この内容を受けて多田氏は「X線に変化が出づらく診断がつかないのが問題で、

腰の痛みが指標となる。

特徴的な腰痛と眼病変、皮膚の痛みから本症を疑うことができるかがカギとなる。

患者は、痛みの量化、場所、表現の難しさから発信が難しいと思われるので

『痛み日記』などをつけることで医療者に身体の状態を理解してもらう工夫ができる」

と診療でのポイントを述べた。


また、AS患者である銭谷氏からは、

患者の思いとして周囲の友人や関係者へ自分の痛みを理解してもらうのが難しかったことで、

精神的につらい思いをしたこと、

患者・患者家族がよく病気を理解することが大切であることなどが語られた。


最後に多田氏からは「ASの診断ができるように医療者への啓発が大事。

セクキヌマブの登場で本症への関心が高くなればと思う。

誤診や過重診断がないように、迷ったら専門医へ紹介していただきたい」とコメントし、

銭谷氏は「痛みと付き合っていき、同じ患者のために何かできればと思う」と抱負を述べ、

パネルディスカッションを終えた。

■参考文献
1)van der Linden S, et al. Arthritis Rheum .1984;27:361-368.

■参考
「コセンティクス」、本邦初のIL-17Aを標的とする強直性脊椎炎治療薬として効能追加の承認取得
強直性脊椎炎(AS)の診断に関する実態調査

■関連記事
希少疾病ライブラリ 強直性脊椎炎
(ケアネット 稲川 進)
スポンサーサイト



気に入ったらシェア!

のぞみ
この記事を書いた人: のぞみ
<発症原因>
中学時にいたずらによる椅子引きで
尾骨を骨折する
原因不明の多彩な症状が現れ
寝たきり車椅子生活となる
ドクターショッピングを重ね
脳脊髄液減少症だと
診断確定したのは発症から10年後

<診断・検査・治療病院>
国際医療福祉大学熱海病院

<検査結果>
画像診断より
腰椎から複数の髄液ダダ漏れ
脳下垂・硬膜肥厚・静脈拡張
髄圧一桁・残存率一桁の所見あり
脳脊髄液減少症と診断確定

<再検査>
先進医療が実施され再検査の結果
胸椎からの髄液漏れ有り
診断基準に該当
脳脊髄液(漏出症)と診断確定

<病歴20年・治療後10年・男性>
ブラッドパッチ療法2回
アートセレブ(人工髄液)髄注1回

<治療経過>
発症から20年、治療から10年経過
診断前後の7年間は介助が必要な
寝たきり車椅子生活となりましたが
治療+自己流リハビリを重ねて
多彩な症状は消失しましたが
僅かな頭痛・倦怠感の残存症状があり
共存しながらも社会復帰に至りました
全完治まであと一歩です
新ガイドライン策定news(2018年12月~) (4)
ブラッドパッチ療法保険適用決定(2016年) (3)
┗  ブラッドパッチ療法保険適用 (2)
先進医療実施 診断基準(2012年) (1)
学校における脳脊髄液減少症(文部科学省) (1)
子どもの脳脊髄液減少症 (10)
起立性調節障害 (6)
体位性頻脈症候群(POTS) (5)
HSC(ハイリーセンシティブチャイルド) (3)
HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン) (1)
障害年金 (9)
交通事故損害(書籍) (1)
自賠責保険 (2)
マイナンバーカード (1)
脳脊髄液減少症(news) (30)
脳脊髄液減少症(研究) (7)
脳脊髄液減少症(患者) (36)
脳脊髄液減少症(芸能人) (4)
脳脊髄液 (21)
新型コロナウイルス (37)
新型コロナウイルス後遺症 (5)
宇宙飛行士と脳脊髄液の関連 (9)
脳神経 (16)
慢性硬膜下血腫 (2)
医療news (33)
医療機器 (7)
整骨院・整体院・カイロプラクティック事故 (1)
書籍 (4)
健康機器 (1)
サプリメント・健康食品 (7)
医薬品news (20)
┣  薬剤性ジストニア (1)
┣  ベンゾジアゼピン系受容体作動薬 (4)
┣  ベンゾジアゼピン離脱症候群 (1)
┣  リリカ(鎮痛薬) プレガバリン (3)
┣  デパス(向精神薬) (2)
┣  レンドルミン(睡眠薬) (1)
┣  モーラステープ(光線過敏症) (1)
┗  タリージェ(疼痛治療薬) (2)
社会news (8)
朝日 健康・医療フォーラム2019 (4)
脳脊髄液減少症の問題点 (7)
厚生労働省認可病院の現状 (1)
患者の体験による発症原因と症状 (5)
検査方法(熱海病院の参考例) (1)
保存的療法(初期段階治療) (1)
国際医療福祉大学熱海病院にて診断確定 (3)
ブラッドパッチ治療後の安静期間と始動 (2)
┗  ブラッドパッチ治療後の腰痛 (1)
ブラッドパッチ治療後の症状 (24)
アートセレブ(人工髄液)1回治療 (5)
経過観察と苦悩 (35)
心の葛藤 (11)
経済的困難の苦悩 (3)
生活不活発病(廃用症候群) (2)
┗  介護用品が必要となった日常生活 (1)
リハビリ(前半) (14)
リハビリ(後半) (10)
リハビリのまとめ(完結) (1)
リハビリ+α (10)
社会復帰への第一歩 (1)
運動リハビリ(運動療法) (16)
┣  家事はリハビリに最適 (1)
┣  水中ウォーキングの注意点 (1)
┣  イメージトレーニング (1)
┣  体幹スロートレーニング (1)
┣  セロトニン分泌(リズム運動) (2)
┣  エンドルフィン分泌(音楽療法) (2)
┣  デュアルタスク(脳疲労) (1)
┣  体水分循環(頭痛・疲労倦怠感・むくみ) (1)
┣  インターバル速歩(脳疲労・疲労倦怠感) (1)
┣  スロージョギング (1)
┗  ヨガ・太極拳 (3)
サプリメントより食事内容(質)の大切さ (12)
┣  食事療法(アミノ酸・たんぱく質) (2)
┣  アミノ酸・炭酸水・クエン酸・ミネラル (2)
┣  腸内細菌(脳腸相関) (3)
┣  下痢(食事療法・運動) (2)
┣  イミダペプチド(抗疲労効果) (1)
┗  乾燥生姜(体の痛み・冷え症) (1)
糖質制限 (2)
口腔アレルギー症候群(OAS) (1)
サプリメント情報(脳脊髄液減少症) (4)
水分補給・脱水 (9)
カフェイン・アルコール (3)
五苓散の利水効果 (1)
パソプレッシンホルモン(尿量の調整) (1)
天気・気圧・湿度の影響 (8)
気象病・天気痛 (5)
花粉症 (4)
┣  光線過敏症 (1)
┗  寒暖差アレルギー (1)
化学物質過敏症・電磁波過敏症 (7)
慢性連日性頭痛・目の奥の痛み (9)
起立性頭痛 (2)
片頭痛 (8)
労作性頭痛 (1)
耳の冷えによる機能性頭痛 (1)
後頭部と耳の後ろが痛い大後頭神経痛 (1)
頭部アロディニア (2)
┗  頭部抜け毛・白髪・皮膚乾燥 (1)
ベル麻痺 (1)
石灰化上皮腫 (1)
自律神経 (5)
動悸・手の振るえ(振戦)チック症状  (2)
心臓・動脈硬化・スモールハート (1)
高血圧 (3)
微熱・悪寒・高熱 (1)
冷え性・体温調節機能・汗腺機能 (6)
疲労・倦怠感・易疲労 (5)
脳疲労・ブレインフォグ (9)
睡眠障害 (9)
睡眠相後退(前進)症候群 (1)
不眠・過眠・ナルコレプシー(オレキシン) (9)
むずむず脚症候群 (1)
高次脳・視空間認知力低下 (1)
めまい・吐き気・動悸 (4)
眼前暗黒感のめまい (1)
光過敏・複視・霧視・残像・視力低下 (2)
緑内障 (6)
加齢黄斑変性 (2)
目の不調は脳が原因 (12)
┣  眼瞼・顔面けいれん (1)
┣  眼球使用困難症 (2)
┣  中枢性羞明 (3)
┗  アーレン症候群 (2)
聴覚過敏・車酔いとめまい (1)
耳鳴り (4)
耳菅開放症 (2)
外リンパ瘻 (2)
メニエール病 「中耳加圧治療」 (2)
APD・聴覚情報処理障害 (1)
鼻詰まり (1)
味覚 (1)
嚥下障害 (1)
非歯原性歯痛 (1)
口内炎・ヘルペス・口角炎・味覚障害 (2)
歯肉炎・親知らず抜歯・ドライマウス (1)
顔のしびれ (1)
顎関節症・三叉神経痛・噛み締め (2)
慢性上咽頭炎・EAT(上咽頭擦過療法) (2)
咽頭痛・異物感・息苦しさ・期外収縮不整脈 (1)
リンパ扁桃腺の腫れ・下顎と首のしこり (1)
長引く咳・むせる咳・咳喘息との関連 (2)
甲状腺機能亢進症(別名バセドウ病) (1)
帯状疱疹 (1)
座位・起立・労作不耐・末梢神経障害 (1)
胸郭出口症候群 (3)
梨状筋症候群 (2)
頚椎症・ストレートネック (1)
肩・肩甲骨・背中・手足の痛み (4)
トゥレット症候群と不随意運動 (1)
血糖値上昇 (2)
反応性低血糖症 (1)
副腎疲労/副腎疲労症候群 (1)
IgG抗体検査に関する注意喚起 (1)
胃痛・胃液逆流・下痢 (1)
機能性ディスペプシア (2)
過敏性腸症候群(IBS) (2)
潰瘍性大腸炎(UC) (3)
頻尿・膀胱炎 (3)
┣  ED症状 (1)
┗  女性化乳房症(男性) (1)
無痛分娩・帝王切開(硬膜外麻酔) (4)
┣  月経前不快気分障害「PMDD」 (1)
┣  PTSDと腸内細菌 (1)
┗  HPVワクチン (1)
パニック障害 (1)
うつ病・抑うつ状態 (6)
経頭蓋磁場刺激法(TMS) (3)
反復経頭蓋磁気刺激(rTMS) (5)
経頭蓋直流刺激(tDCS) (1)
むち打ち症 (3)
高次脳機能障害 (6)
軽度外傷性脳損傷 (12)
外傷性脳損傷 (4)
遅発性脳障害 (1)
筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群 (55)
小児の慢性疲労症候群 (1)
カルニチン欠乏症 (2)
筋痛性脳脊髄炎/線維筋痛症 (42)
慢性疼痛 (10)
腰痛(慢性痛) (2)
神経障害性疼痛 (7)
複合性局所疼痛症候群(CRPS) (2)
神経疾患(脊磁計) (1)
脊髄刺激療法(SCS) (2)
筋筋膜性疼痛症候群(MPS) (1)
強直性脊椎炎(AS) (10)
筋萎縮性側索硬化症(ALS) (3)
椎間板ヘルニア (1)
パーキンソン病 (3)
認知症・認知障害・アルツハイマー病 (8)
ヘルプマーク (3)
不定愁訴 (5)
インフルエンザ (1)
ドクターショッピング(一部のみ) (8)
コメント受付中断のお知らせ (2)
プライベート (5)
ひとりごと (4)
12月は自分の生き方を振り返る (4)
命とは生きるとは (6)
年末・年始の感謝とご挨拶 (12)
ごあいさつ (1)