脳神経外科領域における最先端MR/CTの臨床応用 3T MRI脳脊髄液動態イメージングTime-SLIP

2019年04月13日
脳脊髄液
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東芝メディカルシステムズが開発した非造影MRA技術である
Time-SLIP(Time- spatial inversion pulse)法は,
血液脳脊髄液などをRFパルスによって直接ラベリングすることで,
非侵襲的に生理的状態での観察を可能にいたしました。

髄液は立つ,歩く,走るといったいろいろなポジションで,
心拍動だけでなく、呼吸にも影響を受けている。
髄液の流れを促す為には寝たきりでは動きが小さい。
したがって適度な運動は効果があると言えるのではないだろうか。
脳脊髄液減少症を発症し発症から10年後にようやく診断され
ブラッドパッチ療法を受けたが7年間に及ぶ寝たきり車椅子生活だったが
リハビリに、運動療法(有酸素運動・その他)や呼吸法を取り入れて走れるようになるまでに回復し
更に現在は、運動強度を上げられるように寛解できた理由が
ここに繋がるのではないだろうか。

<参照記事>
日本脳神経外科学会 第72回学術総会 ランチョンセミナー:流れない脳脊髄液 ─Time-SLIP法 からの観察


日本脳神経外科学会第70回学術総会ランチョンセミナーLS-28
脳神経外科領域における最先端MR/CTの臨床応用

https://www.innervision.co.jp/suite/toshiba/seminarreport/1203.html

日本脳神経外科学会第70回学術総会が
2011年10月12日(水)~14日(金)の3日間,パシフィコ横浜で開催された。
14日に行われた東芝メディカルシステムズ(株)共催のランチョンセミナーでは,
新潟大学脳研究所脳神経外科分野の藤井幸彦氏を座長として,
東海大学大磯病院脳神経外科脳卒中神経センター長,脳神経外科准教授の山田晋也氏が
Time-SLIP法を用いた脳脊髄液の動態イメージングについて講演した。

3T MRI脳脊髄液動態イメージング
-Time spatial inversion pulse(Time-SLIP)technology

山田 晋也(東海大学大磯病院脳神経外科脳卒中神経センター長,脳神経外科准教授)

東芝メディカルシステムズが開発した非造影MRA技術である
Time-SLIP(Time- spatial inversion pulse)法は,
血液や脳脊髄液などをRFパルスによって直接ラベリングすることで,
非侵襲的に生理的状態での観察を可能にした。

Time-SLIP法を用いて脳脊髄液(cerebrospinal fluid:CSF)の動きを画像化する方法が
CSF flow imagingである。
本講演では,正常脳および水頭症などの疾患に応用したCSF flow imagingについて,
「Vantage Titan 3T」(以下,Titan 3T)による臨床画像を含めて報告する。

■脳脊髄液の循環動態
現在の脳脊髄液の循環動態については,20世紀初頭に,
Cushing,Dandy,Weedらによって示された考え方がいまだに基本になっている。

髄液は脈絡叢で産生(active formation)される。
脳脊髄液は側脳室から第三脳室,第四脳室から脊髄クモ膜下腔に流れ出て,
脳表のクモ膜顆粒から静脈に吸収(passive absorption)される。
産生部位から吸収部位に向かって一方的に“ゆっくりとした川の流れのように”流れていく
(unidirectional flow)とされてきた。
Cushingは,髄液を血液,リンパ液に続くthird circulationと位置づけ,
髄液は循環するという考え方が常識とされてきた。
しかし最近,Time-SLIP法による髄液の観察によって,
この既成概念とは異なる循環動態が明らかになりつつある。

■Time-SLIP法による髄液動態描出のメリット
従来,脳脊髄液のトレーサースタディとしては,
RIの脳槽造影やMetrizamide(メトリザマイド)を使ったCT Cisternographyが知られる。
これらの方法は侵襲的であり,生理的な状態の観察が不可能な上,
分子量や粘稠度が髄液とは大きく異なる造影剤は,
ゆっくりとした流れの髄液の動きが本当に反映されているのだろうかという疑問があった。
観察したいのは,ありのままの髄液の流れであることから,
髄液の動きを観察するための理想的なトレーサーは髄液そのものであると言える。
Time-SLIP法では,髄液そのものをRFパルスでラベリングするため,
動態を正確に描出することが可能になる。

図1は,Time-SLIP法による正常脳の画像だが,正常例において,
本来は水頭症の所見であるとされた髄液が
第三脳室から側脳室に逆流するreflux flowが観察できる。

図2は,同一患者における交通性水頭症のTime-SLIP法(a)と
Metrizamide CT Cisternography(b)の画像である。
図2 bでは側脳室に逆流する,いわゆるventricular refluxの所見が認められるが,
図2 aでは逆流する脳脊髄液は認められない。
これらの所見から,水頭症の時にはCT Cisternographyでは造影剤が逆流して
側脳室に入ったのではなく,
停滞した脳脊髄液の中を造影剤が拡散して到達していたのを
観察していたと考えられる。
外因性トレーサー(造影剤)が髄液の流れを正確に反映しないことがこの画像から明白である。

■Time-SLIP法の原理
Time-SLIP法は,arterial spin labeling(ASL)法をその技術の基本としており,
髄液そのものを内因性の造影剤として使用することができる。
Time-SLIP法による髄液のラベリングは,
まずnon-selective IR pulseによって背景信号を抑制し,
次に任意の場所の髄液のみをもう1回反転させることでラベリングする。
時間を置いて撮像するとラベリングされた髄液が,
抑制された背景信号部分に流れ込むことでコントラストがついて,
髄液の循環動態の描出が可能になる(図3)。

ラベリングパルスは,1.5Tの場合約8秒で完全に回復するので,
この間が観察可能な時間となるが,
コントラストの減弱を考えると実質的な観察時間は約5秒から6秒となる。
逆に言えば,8秒待てば何度でも同じ部位を繰り返し検査することが可能である。
非侵襲的に同じ部位を観察できることは,動態の再現性を確認することになり,
想像以上のメリットがある。
特に東芝のMR装置では,ラベリングの位置や角度,幅(太さ)の設定の自由度が高く,
複数タグの設定も可能になっており,臨床での有用性が高い。
さらに,髄液の撮像に最適化するように,
パラメータのチューニングなどの開発を当院と共同で行っている。

図4は,Titan3TによるTime-SLIP法の画像だが,
中脳水道を通る髄液がきわめて高画質に描出されている。
従来のPhase Contrast(PC)法との違いは,
PC法が心拍に同期した約1秒間の観察であるのに対して,
Time-SLIP法では5~6秒の観察ができることである。
RI脳槽造影やMetrizamide CT Cisternographyでは数時間,
あるいは数日単位の観察であるので,
約5秒間の髄液の動態はTime-SLIP法で初めて描出された時間帯と言えるだろう。

■正常脳における脳脊髄液の動き
まず,Time-SLIP法による正常脳の髄液の動きを見ていく。
図1でも示したように,Time-SLIP法では,
正常脳で第三脳室から側脳室への髄液の逆流が認められる。
従来の古典的な髄液の循環動態のコンセプトとは異なる動きだが,
日常臨床の場では,FLAIR法で側脳室内のフローアーチファクトとして
よく経験される所見である。
髄液のフローアーチファクトであり,正常の所見だとされてきたが,
教科書にこの部位の髄液の流れについての具体的な記載はなく,
Time-SLIP法で初めて描出された動態だと言える。

図5は,正常脳で,第三脳室と第四脳室の中の髄液が攪拌される動きが描出されている。
これもTime-SLIP法以前では観察し得なかった所見であり,
このような乱流を描出するのにもTime-SLIP法は優れている。
Titan 3Tで第三脳室と第四脳室を撮像し拡大すると,
逆流した髄液が視床間橋にぶつかって,一方は視床間橋の下側を回り込み,
後側は松果体の方向に向かう流れが描出され,
1.5Tとは次元が違う詳細な観察が可能になっている(図6)。

このような第三脳室内の髄液の動きを見ると,
髄液には,従来から言われている外力の衝撃から脳を守るbuoyancy(浮力)の役割や,
脳からの老廃物が排泄される場所という機能以上の存在意義があるのではないかと想像される。

髄液は,正常脳第四脳室から流れ出る際には多くはルシュカ孔を通る様子が観察されるが,
時々マジャンディー孔を通過して流出する画像がとらえられる。
小脳の下方,脳幹の後ろ側の髄液は,ほとんど動かずに腹側前方に回り込み,
延髄腹側から橋腹側のクモ膜下腔の速い髄液流に流れ込む。

図7は斜位の撮像を行い,中脳水道とモンロー孔,側脳室体部を同一面でとらえた画像である。
中脳水道では速いpulsatile flowが見えるが,
側脳室内ではゆっくりとしたslow flowが見えるだけである。
同じ頭蓋内環境であっても,
脳の場所によってpulsatile flowが異なることに注目する必要がある。

これまで,検出技術の限界から,動物実験や静止した状態での髄液の動態しか観察できなかったが,
実際の髄液は立つ,歩く,走るといったいろいろなポジションで,
われわれが想像しないような髄液の動きがある
ことが容易に推測される。

Time-SLIP法によって,生理的な状態での観察が可能になることで,
髄液が単純に循環するのとは違う動態を持つという新しい知見が得られつつあると言っていいだろう。

シルビウス裂内でも,速い髄液のpulsatile flowが観察できる。
一方で,シルビウス裂から大脳円蓋部につながる部分では,
教科書的には髄液の流れがあるというイメージがあるが,
実際に手術を行う脳神経外科医は髄液がその場所を容易に通過し得ないことを経験している。
開頭をしていない生理的条件下でのMRI画像でも,
この部位に髄液の流れがないことが確認される。

髄液の吸収路は,大脳円蓋部からクモ膜顆粒を通して吸収されるとされているが,
円蓋部の髄液はstand stillの状態であり,
髄液の出口であるとされる部位に向かう流れは存在しない。
シルビウス裂や脳室に見られる拍動流に比べると,
長い時間単位では交通性が存在するであろうが実質的な髄液の流れはない。
これは,髄液の吸収路の首座がクモ膜顆粒ではないことを強く示唆する所見であると考えられる
髄液の流れの概念も,前述したように100年が経過し,
新しいテクノロジーでの再検討が必要な時期にあると考える。

■病的状態での脳脊髄液の動き上記リンク先をご覧下さい

●クモ膜下出血後の水頭症上記リンク先をご覧下さい

●多嚢胞性外傷後水頭症上記リンク先をご覧下さい

●Syringomyelia(脊髄空洞症)上記リンク先をご覧下さい

●Aqueduct stenosis(中脳水道狭窄症)上記リンク先をご覧下さい

■最新技術により,100年前の髄液動態の常識の再検討を
Time-SLIP法を用いることで,髄液はターンオーバーし,pulsationしているが,
一方向に単純に流れているわけではないことが観察できた。
3T MRIの時代を迎えて,
さらに詳細な髄液生理の情報が得られることが可能になってきており,
Titan 3TとTime-SLIP法を使って,
100年間の髄液循環のコンセプトの誤解を再検討することが期待される。

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のぞみ
この記事を書いた人: のぞみ
<発症原因>
中学時にいたずらによる椅子引きで
尾骨を骨折する
原因不明の多彩な症状が現れ
寝たきり車椅子生活となる
ドクターショッピングを重ね
脳脊髄液減少症だと
診断確定したのは発症から10年後

<診断・検査・治療病院>
国際医療福祉大学熱海病院

<検査結果>
画像診断より
腰椎から複数の髄液ダダ漏れ
脳下垂・硬膜肥厚・静脈拡張
髄圧一桁・残存率一桁の所見あり
脳脊髄液減少症と診断確定

<再検査>
先進医療が実施され再検査の結果
胸椎からの髄液漏れ有り
診断基準に該当
脳脊髄液(漏出症)と診断確定

<病歴20年・治療後10年・男性>
ブラッドパッチ療法2回
アートセレブ(人工髄液)髄注1回

<治療経過>
発症から20年、治療から10年経過
診断前後の7年間は介助が必要な
寝たきり車椅子生活となりましたが
治療+自己流リハビリを重ねて
多彩な症状は消失しましたが
僅かな頭痛・倦怠感の残存症状があり
共存しながらも社会復帰に至りました
全完治まであと一歩です
新ガイドライン策定news(2018年12月~) (4)
ブラッドパッチ療法保険適用決定(2016年) (3)
┗  ブラッドパッチ療法保険適用 (2)
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カフェイン・アルコール (3)
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天気・気圧・湿度の影響 (8)
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┗  寒暖差アレルギー (1)
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慢性連日性頭痛・目の奥の痛み (9)
起立性頭痛 (2)
片頭痛 (8)
労作性頭痛 (1)
耳の冷えによる機能性頭痛 (1)
後頭部と耳の後ろが痛い大後頭神経痛 (1)
頭部アロディニア (2)
┗  頭部抜け毛・白髪・皮膚乾燥 (1)
ベル麻痺 (1)
石灰化上皮腫 (1)
自律神経 (5)
動悸・手の振るえ(振戦)チック症状  (2)
心臓・動脈硬化・スモールハート (1)
高血圧 (3)
微熱・悪寒・高熱 (1)
冷え性・体温調節機能・汗腺機能 (6)
疲労・倦怠感・易疲労 (5)
脳疲労・ブレインフォグ (9)
睡眠障害 (9)
睡眠相後退(前進)症候群 (1)
不眠・過眠・ナルコレプシー(オレキシン) (9)
むずむず脚症候群 (1)
高次脳・視空間認知力低下 (1)
めまい・吐き気・動悸 (4)
眼前暗黒感のめまい (1)
光過敏・複視・霧視・残像・視力低下 (2)
緑内障 (6)
加齢黄斑変性 (2)
目の不調は脳が原因 (12)
┣  眼瞼・顔面けいれん (1)
┣  眼球使用困難症 (2)
┣  中枢性羞明 (3)
┗  アーレン症候群 (2)
聴覚過敏・車酔いとめまい (1)
耳鳴り (4)
耳菅開放症 (2)
外リンパ瘻 (2)
メニエール病 「中耳加圧治療」 (2)
APD・聴覚情報処理障害 (1)
鼻詰まり (1)
味覚 (1)
嚥下障害 (1)
非歯原性歯痛 (1)
口内炎・ヘルペス・口角炎・味覚障害 (2)
歯肉炎・親知らず抜歯・ドライマウス (1)
顔のしびれ (1)
顎関節症・三叉神経痛・噛み締め (2)
慢性上咽頭炎・EAT(上咽頭擦過療法) (2)
咽頭痛・異物感・息苦しさ・期外収縮不整脈 (1)
リンパ扁桃腺の腫れ・下顎と首のしこり (1)
長引く咳・むせる咳・咳喘息との関連 (2)
甲状腺機能亢進症(別名バセドウ病) (1)
帯状疱疹 (1)
座位・起立・労作不耐・末梢神経障害 (1)
胸郭出口症候群 (3)
梨状筋症候群 (2)
頚椎症・ストレートネック (1)
肩・肩甲骨・背中・手足の痛み (4)
トゥレット症候群と不随意運動 (1)
血糖値上昇 (2)
反応性低血糖症 (1)
副腎疲労/副腎疲労症候群 (1)
IgG抗体検査に関する注意喚起 (1)
胃痛・胃液逆流・下痢 (1)
機能性ディスペプシア (2)
過敏性腸症候群(IBS) (2)
潰瘍性大腸炎(UC) (3)
頻尿・膀胱炎 (3)
┣  ED症状 (1)
┗  女性化乳房症(男性) (1)
無痛分娩・帝王切開(硬膜外麻酔) (4)
┣  月経前不快気分障害「PMDD」 (1)
┣  PTSDと腸内細菌 (1)
┗  HPVワクチン (1)
パニック障害 (1)
うつ病・抑うつ状態 (6)
経頭蓋磁場刺激法(TMS) (3)
反復経頭蓋磁気刺激(rTMS) (5)
経頭蓋直流刺激(tDCS) (1)
むち打ち症 (3)
高次脳機能障害 (6)
軽度外傷性脳損傷 (12)
外傷性脳損傷 (4)
遅発性脳障害 (1)
筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群 (55)
小児の慢性疲労症候群 (1)
カルニチン欠乏症 (2)
筋痛性脳脊髄炎/線維筋痛症 (42)
慢性疼痛 (10)
腰痛(慢性痛) (2)
神経障害性疼痛 (7)
複合性局所疼痛症候群(CRPS) (2)
神経疾患(脊磁計) (1)
脊髄刺激療法(SCS) (2)
筋筋膜性疼痛症候群(MPS) (1)
強直性脊椎炎(AS) (10)
筋萎縮性側索硬化症(ALS) (3)
椎間板ヘルニア (1)
パーキンソン病 (3)
認知症・認知障害・アルツハイマー病 (8)
ヘルプマーク (3)
不定愁訴 (5)
インフルエンザ (1)
ドクターショッピング(一部のみ) (8)
コメント受付中断のお知らせ (2)
プライベート (5)
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命とは生きるとは (6)
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