起立性調節障害を診る 診療の第一人者、田中 英高氏(OD低血圧クリニック田中院長)に聞く

2019年10月02日
起立性調節障害
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長年、OD(起立性調節障害)診療の第一人者として研究に取り組んでこられた
田中英高ドクターにお聞きしたニュースです。


適切な診断・治療で子どもに笑顔を
起立性調節障害を診る
田中 英高氏(OD低血圧クリニック田中院長)に聞く

2019年9月30日 週刊医学界新聞
https://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03340_02

軽症例も含めれば中学生の約1割にみられると言われる
起立性調節障害(Orthostatic Dysregulation;OD)。
頭痛や立ちくらみ,朝起きられないといった症状により日常生活に支障を来し
不登校につながるケースや,
身体疾患だと理解されず周囲から十分なサポートを受けられないケースも多い。
長年OD診療の第一人者として研究に取り組んできた田中英高氏は,
日本小児心身医学会の「小児起立性調節障害診断・治療ガイドライン」作成にも委員長として携わった。
ODの診断・治療方法や,ODを抱える子どもやその保護者と医療者は
どうかかわっていくべきなのか,話を聞いた。

――先生がODの診療に取り組むようになったきっかけをお聞かせください。

田中 今から30年以上前に大阪医大で小児科医として勤務していた頃,
当時ひとくくりに「心身症」と診断されていたODの子どもにたくさん出会ったことがきっかけです。
その頃からODという病名はあったものの,診断基準は明確ではありませんでした。
血液検査や脳のCTなどでは異常が見つからないODは,心理的なストレスが関与する心身症や,
「ただの怠け」「不登校」と扱われていたのです。
しかし私は子どもたちの様子から怠けと片付けるには違和感があり,
彼らの役に立ちたいとODの研究・治療に取り組むようになりました。

全国どこでも診断できるように

――ODの病態について現在の医学でわかっていることを教えてください。

田中 ODは,起立に伴う循環動態の変動に対して働くべき,
自律神経による代償機構が破綻している状態です。
人は起立すると動脈系末梢血管抵抗の低下などにより血液が下半身へ急激に移動します。
通常はこれを代償するため動脈系末梢血管抵抗の上昇や心拍数の増加,
ノルアドレナリン放出などが行われ,血圧が維持されます。
ODではこの一連の代償機構に障害があるため,起立時に血圧の低下や不安定を起こし,
脳血流を確保できなくなってしまうのです。

――具体的にはどのような症状が現れるのでしょう。

田中 脳血流の低下により立ちくらみや頭痛,倦怠感などが生じます。
この症状は午前中に強く現れるため,朝起きられないというODの典型的な症状につながります。

――ODを正確に診断する方法はあるのですか。

田中 非侵襲的連続血圧測定装置(Finometer)や
近赤外分光計などの検査機器を用いて脳代謝循環を測定する検査があります。
これは起立時の血圧変化と同時に,脳の動静脈における血流量の変化を測定することで,
より正確な状態を把握することができます。
しかしこの試験が実施できる医療機関は,
当院を含めて全国に数カ所ほどしかないのが現状です。

――では,そのような機器のない病院ではどう診断すれば良いのでしょう。

田中 日本小児心身医学会が作成した
「小児起立性調節障害診断・治療ガイドライン」では,
特殊な医療機器等を使用しない簡易な検査方法である新起立試験法の実施を推奨しています。
これは全国どこでもODの診断ができるよう,同学会が確立した検査方法です。

新起立試験法とは臥位を保った状態と起立時および起立後の血圧・脈拍をそれぞれ測定し,
その変化を明らかにする検査です。
検査の必要性が認知されるようになり,現在は多くの施設で行われています。
詳細は本ガイドラインをご参照ください。

――ガイドラインを作成したことで,OD診療を取り巻く環境に何か変化はありましたか。

田中 患者側からガイドラインを踏まえて診療してほしいという要望が上がり,
それに応える形で全国の医療機関で診療が行われるようになりました。
OD診療は患者側の発信で広まってきた面があります。

また,ガイドラインができたことで医療者の間に疾患の概念や検査・治療方法が認知され始めました。
医師国家試験の出題範囲にも含められ,
現在は比較的若い医師は学生時代から病名を知っていることが多いです。
しかし,残念なことに今でも適切に診察してくれる医師にたどり着けず,
怠けに起因する不登校だと扱われる子どももいます。
ODの適切な診療がもっと広がり,そのような子どもがいなくなることを望んでいます。

身体疾患と理解し治療に取り組む

――ODの代表的な治療法について教えてください。

田中 ODの治療には大きく薬物療法と非薬物療法があります。
薬物療法では昇圧薬であるミドドリン塩酸塩などを用いますが,
これは治療効果に占める割合としては一部にすぎません。
ODの症状を改善するには,生活習慣改善などの非薬物療法が重要な役割を持ちます。
例えば散歩などの軽度の運動,水分や塩分の摂取,
起立時には頭位を前屈させてゆっくりと起き上がるなどの行動を徹底することが大切です。

――ODと疑わしき子どもが来院した際,医療者はどのように対応すべきでしょうか。

田中 OD以外の基礎疾患の可能性を除外した上で,
まずは新起立試験法を実施してほしいです。
これは初診の場合,診察時間も含めれば30~60分ほどかかる検査ですので,
診るべき患者を大量に抱える多忙な医師にとってはハードルが高いかもしれません。
しかし検査でODと確定し,その検査結果を子どもや保護者が知ることは,
OD診療の第一歩となります。

――なぜ当事者が検査結果を知ることが必要なのですか。

田中 まず,ODは身体疾患であると保護者が真に理解するためです。
保護者がODを身体疾患だと理解していない場合,どこかで怠けだと思ってつい
「早く起きなさい」「学校に行かないと」などと子どもに口うるさく言ってしまうことがあります。
このような誤った対応は親子関係の悪化を招きかねませんし,問題の根本的な解決にはつながりません。

また幼少期からの習慣で,薬を飲ませるなどの行動を保護者が子どもに指示することで,
子どもが自主的に治療に取り組めなくなる場合もあります。

――保護者には子どもの疾患を理解し見守る姿勢が必要なのですね。

田中 はい。また検査結果を知ることは,
子ども自身が治療に当事者意識を持つためにも重要な意味を持ちます。

全国の子どもの日常生活をサポートする

田中 検査結果を伝える際,私は子どもに「この病気を治せるのは他でもないあなただよ」と話しています。
先に述べたように,OD治療においては薬物療法以上に生活習慣改善が重要ですから,
子どもが自主的に治療に取り組むことが最重要です。
診察に来るたび検査結果を子どもと共有し,
生活の中でできたことやできなかったことを一緒に確認しながら治療に取り組んでいます。

――子どもが日中過ごす場である学校の理解は,現在どのくらい進んでいるのですか。

田中 今は患者の親の会があるため,学校へ説明に行くなど保護者による働き掛けもあり,
理解しサポートしてくれる学校は随分増えてきました。
教員にはガイドラインの内容を説明し,その子どもが怠けているのではなく
病気なのだと理解して適切な支援をするよう求めています。
具体的には長時間の静止状態での起立や暑気を避ける,遅刻での登校を認める,
さらにはクラスメートの理解を得る,などです。
教員は多忙なため対応が難しい部分もありますが,
子どもの生活を支えるための多機関連携に努めています。

――今後田中先生はODの子どもたちをどうサポートしていきますか。

田中 私が診察する患者さんは遠方から来院する方も多くいるため,
治療方針を決定した後は地元のかかりつけ医の先生方に治療を依頼しています。
診療情報提供書に現状や必要な治療・処方,サポートを示すことで,綿密な連携を図っています。
いつも多くの先生方が子どもの日常生活の支援に尽力してくださり,大変感謝しています。
全国で治療を求める子どもと保護者のために,これからも全国の医療者や関係機関と協力し
できる限りの支援を続けていきたいです。

たなか・ひでたか氏
1980年大阪医大卒。86年同大大学院博士課程修了。博士(医学)。
同大小児科講師,助教授,准教授,同大病院発達小児科科長などを経て,
2014年OD低血圧クリニック田中を開院。
大阪医大小児科での診療経験をもとにODの診断方法を確立。
「私がODの診療を始めてからガイドラインが完成するまで20年以上かかりました。
それでもOD診療に取り組み続けたのは,症状が改善し,
喜ぶ子どもたちの姿を見ることにやりがいを感じるからです」
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のぞみ
この記事を書いた人: のぞみ
<発症原因>
中学時にいたずらによる椅子引きで
尾骨を骨折する
原因不明の多彩な症状が現れ
寝たきり車椅子生活となる
ドクターショッピングを重ね
脳脊髄液減少症だと
診断確定したのは発症から10年後

<診断・検査・治療病院>
国際医療福祉大学熱海病院

<検査結果>
画像診断より
腰椎から複数の髄液ダダ漏れ
脳下垂・硬膜肥厚・静脈拡張
髄圧一桁・残存率一桁の所見あり
脳脊髄液減少症と診断確定

<再検査>
先進医療が実施され再検査の結果
胸椎からの髄液漏れ有り
診断基準に該当
脳脊髄液(漏出症)と診断確定

<病歴20年・治療後10年・男性>
ブラッドパッチ療法2回
アートセレブ(人工髄液)髄注1回

<治療経過>
発症から20年、治療から10年経過
診断前後の7年間は介助が必要な
寝たきり車椅子生活となりましたが
治療+自己流リハビリを重ねて
多彩な症状は消失しましたが
僅かな頭痛・倦怠感の残存症状があり
共存しながらも社会復帰に至りました
全完治まであと一歩です
新ガイドライン策定news(2018年12月~) (4)
ブラッドパッチ療法保険適用決定(2016年) (3)
┗  ブラッドパッチ療法保険適用 (2)
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┣  アミノ酸・炭酸水・クエン酸・ミネラル (2)
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口腔アレルギー症候群(OAS) (1)
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┗  頭部抜け毛・白髪・皮膚乾燥 (1)
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脳疲労・ブレインフォグ (9)
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睡眠相後退(前進)症候群 (1)
不眠・過眠・ナルコレプシー(オレキシン) (9)
むずむず脚症候群 (1)
高次脳・視空間認知力低下 (1)
めまい・吐き気・動悸 (4)
眼前暗黒感のめまい (1)
光過敏・複視・霧視・残像・視力低下 (2)
緑内障 (6)
加齢黄斑変性 (2)
目の不調は脳が原因 (12)
┣  眼瞼・顔面けいれん (1)
┣  眼球使用困難症 (2)
┣  中枢性羞明 (3)
┗  アーレン症候群 (2)
聴覚過敏・車酔いとめまい (1)
耳鳴り (4)
耳菅開放症 (2)
外リンパ瘻 (2)
メニエール病 「中耳加圧治療」 (2)
APD・聴覚情報処理障害 (1)
鼻詰まり (1)
味覚 (1)
嚥下障害 (1)
非歯原性歯痛 (1)
口内炎・ヘルペス・口角炎・味覚障害 (2)
歯肉炎・親知らず抜歯・ドライマウス (1)
顔のしびれ (1)
顎関節症・三叉神経痛・噛み締め (2)
慢性上咽頭炎・EAT(上咽頭擦過療法) (2)
咽頭痛・異物感・息苦しさ・期外収縮不整脈 (1)
リンパ扁桃腺の腫れ・下顎と首のしこり (1)
長引く咳・むせる咳・咳喘息との関連 (2)
甲状腺機能亢進症(別名バセドウ病) (1)
帯状疱疹 (1)
座位・起立・労作不耐・末梢神経障害 (1)
胸郭出口症候群 (3)
梨状筋症候群 (2)
頚椎症・ストレートネック (1)
肩・肩甲骨・背中・手足の痛み (4)
トゥレット症候群と不随意運動 (1)
血糖値上昇 (2)
反応性低血糖症 (1)
副腎疲労/副腎疲労症候群 (1)
IgG抗体検査に関する注意喚起 (1)
胃痛・胃液逆流・下痢 (1)
機能性ディスペプシア (2)
過敏性腸症候群(IBS) (2)
潰瘍性大腸炎(UC) (3)
頻尿・膀胱炎 (3)
┣  ED症状 (1)
┗  女性化乳房症(男性) (1)
無痛分娩・帝王切開(硬膜外麻酔) (4)
┣  月経前不快気分障害「PMDD」 (1)
┣  PTSDと腸内細菌 (1)
┗  HPVワクチン (1)
パニック障害 (1)
うつ病・抑うつ状態 (6)
経頭蓋磁場刺激法(TMS) (3)
反復経頭蓋磁気刺激(rTMS) (5)
経頭蓋直流刺激(tDCS) (1)
むち打ち症 (3)
高次脳機能障害 (6)
軽度外傷性脳損傷 (12)
外傷性脳損傷 (4)
遅発性脳障害 (1)
筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群 (55)
小児の慢性疲労症候群 (1)
カルニチン欠乏症 (2)
筋痛性脳脊髄炎/線維筋痛症 (42)
慢性疼痛 (10)
腰痛(慢性痛) (2)
神経障害性疼痛 (7)
複合性局所疼痛症候群(CRPS) (2)
神経疾患(脊磁計) (1)
脊髄刺激療法(SCS) (2)
筋筋膜性疼痛症候群(MPS) (1)
強直性脊椎炎(AS) (10)
筋萎縮性側索硬化症(ALS) (3)
椎間板ヘルニア (1)
パーキンソン病 (3)
認知症・認知障害・アルツハイマー病 (8)
ヘルプマーク (3)
不定愁訴 (5)
インフルエンザ (1)
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